レザークラフトのやる気が戻った理由|妻に頼まれてペンケースを作った話

木製デスクの上に置かれたブラウンのレザーペンケースとペン レザークラフト
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レザークラフトを始めて、約1年。自分用の財布、名刺入れ、キーケース。使いたいものは一通り作った。

正直に言うと、やる気が落ちてきていた。

「次、何を作ろう?」という問いが浮かばなくなっていた。技術が上がっていないわけでもないし、道具が揃っていないわけでもない。ただ、目的が見当たらなくなっていた。

そんな時、妻から突然「ペンケース作ってくれない?」という一言が来た。

自分のために作るものは、もう作り尽くしていた

レザークラフトを始めたきっかけは「革の財布を自分で作ってみたい」だった。1年かけて財布を作り、名刺入れを作り、キーケースを作り、ベルトも作った。

自分が欲しいものを作る、という目的は達成した。

だからこそ、次の目標が見えなくなっていた。革を広げてみても、手が動かない。「やらなきゃいけない」わけでもないし、「どうしても作りたいもの」もない。50代の趣味なんてそんなもん、と自分に言い聞かせていたが、少し寂しかった。

独学でここまで来た経緯については、こちらの記事に書いている。
レザークラフトは独学で大丈夫?50代が一人で始めて続いた理由

妻から「ペンケース作ってくれない?」

ある日、妻が突然言ってきた。「ペンケース作ってくれない?今使ってるの、壊れちゃって」

正直、最初は少し驚いた。今まで家族から「作って」と言われたことがなかったから。

そして、少し嬉しかった。「必要とされた」という感覚だろうか。自分のためじゃなく、誰かのために作るというのが、どういうことか急に気になり始めた。

作ること自体は、難しくなかった

技術的には、ペンケースはそれほど難しくない。形がシンプルで、サイズも比較的大きいから、細かい作業も少ない。1年の経験があれば、十分に作れる範囲だった。

ただ、普段と違うことがあった。

「これ、妻が使う」という意識が、ずっとそこにある。色を決めるとき、サイズを測るとき、縫い目を確認するとき。作っている間じゅう、使う人の顔が頭にあった。

自分用を作るときは、「まあ、これくらいでいいか」と妥協することもある。でも今回は、そういう気持ちになりにくかった。「妻が毎日使うもの」という前提が、手を丁寧にさせてくれた。

喜んでくれた、それだけで十分だった

完成品を渡すと、妻は喜んでくれた。「ちょうどよかった、前のが壊れてたんだよね」という一言。特別に感動したわけでも、大げさに褒めてくれたわけでもない。

でも、それで十分だった。

使っているところはまだ見ていない。でも、使われることはわかっている。「引き出しの奥にしまわれる」のではなく、「誰かの日常に入っていく」という実感がある。

その感覚は、自分用を作るときにはなかったものだ。

「趣味が続かない」と感じたとき、何が足りなかったのか

やる気が低迷していた時期を振り返ると、足りなかったのは「作る相手」だったんだと思う。

道具は揃っていた。技術もある程度は身についていた。時間もあった。でも「誰かのために作る」という動機が、すっぽり抜けていた。

趣味が続かない理由については、以前こんな記事を書いている。
レザークラフトが続かない理由|50代が期待値を下げたら長続きした話

その記事では「期待値を下げること」を書いた。今回気づいたのは、もう一つの軸。「作る相手を持つこと」も、続けるための力になる。

誰かのために作る。それだけで手は動く。

やる気が戻ったのは、技術が上がったからでも、新しい道具を買ったからでもなかった。「作る相手」が生まれただけで、手は動いた。

レザークラフトは、誰かの日常に溶け込んだとき、もう一段深くなる趣味なのかもしれない。