50代になって、
「何か始めたい」と思っていた。
仕事一筋でやってきて、
休日になっても、動けない自分がいた。
そんなとき出会ったのが、
レザークラフトという手仕事。
革を縫う時間に没頭できて、
頭の中の雑音が消えた。
そして、家族のひとことから、
「売る」という挑戦が始まった。
赤字続きで気づいたこと、
計画を立てる意味、
その記録を残しておきたい。
趣味から始まったレザークラフト
最初は、完全に趣味やった。
仕事が落ち着いて、
時間に少し余裕ができたころ、
たまたま見たYouTubeの
レザークラフトに惹かれた。
革の香り、針を通す音、手縫いの仕上がり。
その静けさが、
仕事でたまった疲れを癒やしてくれた。
休日の数時間、コツコツ縫っていると、
頭が空っぽになる。
その感覚が、たまらなく心地よかった。
最初に作ったのは、小物を入れるトレイ。
次にカードケース、そして財布。
家族にプレゼントしたら、
思った以上に喜ばれた。
「これ、売ってみたら?」
その一言で、遊びが「挑戦」に変わった。
売ってみたら、現実が見えた
最初にメルカリに出したのは、
カードケース。
自分では上出来やと思っていたけど、
全く売れへん。
「値段が高いんかな」と思って少し下げたら、
ようやく売れた。
売れた瞬間、うれしさで声が出た。
けれど、電卓を叩いた瞬間に現実を知る。
革代500円、糸・金具50円、
送料300円、手数料100円。
どう計算しても、赤字やった。
「趣味で赤字って、なんか違うな…」
そう思って、初めて「数字」を見始めた。
数字で考えてみた
これまで感覚で作っていたものを、
ノートに書き出してみた。
A4の革が1,500円。
そこから2個取れる。
1個あたりの原価750円。
送料と手数料を足すと、約1,000円。
販売価格が1,000円やったとしたら、
利益はゼロ。
「これじゃあ、あまり割に合わへんなあ」と思った。
でも、逆に言えば、数字を整理すれば、
「どこを工夫すればプラスにできるか」も
見えてくる。
材料費を抑えるか、送料を見直すか、
価格設定を上げるか。
その試行錯誤が、意外と楽しかった。
「何を作るか」より、「誰に必要か」
数字を整理するうちに、
もうひとつ大事な視点に気づいた。
それは「何を作るか」より、
「誰に必要か」。
どれだけ丁寧に作っても、
欲しい人がいなければ売れへん。
つまり、需要があるかどうか。
そこで、ChatGPTに聞いてみた。
「レザークラフトで、今需要があるアイテムは?」
AIの答えは明快やった。
「男女問わず使える、手のひらサイズの小物。
特にコインケースやキーケースは
ギフト需要が安定しています」
確かに、家族や友人にあげるなら、
大きな財布より
「ちょっとした小物」がちょうどいい。
作る側としても材料が少なくて、
発送もしやすい。
「そうか、コインケースか」
そう思って、すぐに作ってみた。
小物入れにも使えるコインケースにたどり着いた

A3の革2,500円から、5個作れる。
糸や金具70円、送料300円、梱包50円。
販売価格を3,000円にできれば、
それなりのプラスになる。
小さいけれど、手に取りやすく、
贈りやすく、作りやすい。
赤字にならない。作っていて楽しい。
誰かに喜ばれる。
この3つがそろったとき、初めて
「これなら続けられる」と思えた。
さらに改良を重ねて、
コインケースとしてだけやなくて、
薬や小物を入れる
マルチポーチ風にした。
使い方を広げたことで、
購入者の反応も良くなった。
「計画を立てる」という考え方
50代って、つい守りに入る。
「リスクが見えるから、また今度でいいか」
そう思って、動かないまま週末が終わる。
でも、赤字でも続けたかった。
計画を立てるというのは、
夢を諦めることやなくて、
ちゃんと続けるための
道筋を作る作業やった。
どんな商品を作るか。どこで売るか。
いくらで売るか。材料はどこで買うか。
月に何個作るか。
まるで「創業計画書」みたいやった。
大げさに聞こえるけど、
これを書いてみると、
頭が驚くほど整理された。
本気で黒字を目指すなら、
「誰のために」「何を」「いくらで」を
明確にするのが先やと思う。
同じ作品でも、ターゲットが変われば、
値段は2倍にできる。
数字だけやなくて、
「誰のために作るか」が明確になると、
モノづくりがただの趣味やなくて、
「自分の小さな事業」のように
感じられるようになった。
でも、「作る」だけでは届かない

数字と需要が見えてきても、
もうひとつの課題があった。
それは「どう見つけてもらうか」。
どんなに良いものでも、
見つけてもらえなければ売れへん。
そこで、またChatGPTに聞いてみた。
「レザークラフト作品を
多くの人に見てもらうには?」
AIの答えはシンプルやった。
「SNSで作品を見せて
フォロワー(ファン)を増やし、
販売サイトへつなげること」
なるほど、「売る」やなくて、
「知ってもらう」が先か。
実際に試してみると、
明るい自然光で撮るだけでも印象が変わる。
背景を整えたり、
制作途中の動画を短くまとめると反応がいい。
SNSでは「完成品」だけよりも、
「作っている過程」のほうが、
共感を呼びやすい。
どこで売るかを考えてみた
SNSで興味を持ってもらった人を、
どこに案内するか。
販売サイトを考えるのも重要になる。
手軽に始めるなら、メルカリ。
ハンドメイド販売サイトの王道、minne。
自由に世界観を作れる、BASEやCreema。
初心者には、minneやCreemaみたいな
手づくり品プラットフォームが手堅いと思う。
出店料も安くて、購入する側も
「個人作家から買う」前提で来てくれる。
慣れてきたら、地元のクラフトイベントや
SNSでの直販を組み合わせると、幅が広がる。
どんな革を使うか、どんな針で縫うか。
その選ぶ時間もまた、
レザークラフトの醍醐味。
実際に使っている道具は、
道具の記事にまとめている。
赤字でも続けられたのは、お金やないものを得ていたから
数字だけ見れば、
レザークラフトの販売は赤字やった。
材料費・道具代・出店料を引くと、
手元に残るのはわずか。
時間給で計算したら、
コンビニのバイトのほうが効率はいい。
そう言われたら、返す言葉はない。
でも、続けられている理由は、ちゃんとある。
赤字の代わりに、
お金では買えないものを受け取っていたから。
「これ、いいですね」と言ってくれた、
見知らぬお客さんとのやりとり。
家でひとり手を動かす夜の、
集中している時間。
家族からの「最近、楽しそうやな」の一言。
50代でも何かを続けている、
という自分の中の確かさ。
この4つは、家計簿のどこにも載らへん。
でも、生活の中身を支えているのは、
こういう小さな積み重ねやった。
家計を圧迫しない範囲で、
月の上限予算だけ決めておけば、
罪悪感なく続けられる。
赤字額そのものやなくて、
それで何が得られているかで
判断すればいいと思う。
私の結論:黒字やなくても、豊かにはなれる
50代以降の趣味は、
儲けるためにやるものやない。
そう割り切ってからのほうが、
レザークラフトは続けられるようになった。
もちろん、計画を立てて、コストを下げて、
売れる工夫はする。
でも、最後のものさしを
「黒字かどうか」に置くと、続かへん。
続けていることそのものが、
すでにリターンなんやと思う。
節約だけしていれば、財布は減らへん。
でも、自分の中の
「何かに夢中になる時間」も、増えはせえへん。
趣味に使うお金や時間は、
家計簿の上では浪費に見える。
でも、生活の中身を豊かにしてくれるなら、
それは投資やと思う。
私はこれを「豊かな浪費」と呼んでいる。
50代以降の趣味は、黒字やなくていい。
続いていることそのものが、
答えやと思っている。
趣味や時間の使い方は、こちらの記事も参考になります。
レザークラフトは50代の趣味に向いてる?実際にやって分かったこと
50代から始める手仕事|レザークラフトが教えてくれた「何かに没頭する」ということ
豊かな浪費とは|節約でもFIREでもない、50代の第3の道

