「また今度ね」
「もう少し落ち着いたら」
「子どもが片付いてから」
気づけば、何かを先送りにする言葉が、口ぐせになっていないだろうか。
私も、ずっとそうだった。
やりたいことがあっても、「今はまだ」「そのうち」と、10年くらい同じ言葉を繰り返してきた。
でも、50代になって、やっと気づいた。
50代は、人生で最後のゴールデンゾーンだ。
お金・時間・体力、この3つがまだ全部そろっている、最後の10年。
この記事では、50代の私が「トライする側」に舵を切った話と、同じように「また今度」で止まっているあなたへ、今日から踏み出せる一歩を書きます。
気づくと「また今度」ばかりになっていないか
周りの50代と話していると、ほぼ必ず出てくる言葉がある。
「いいね、それ。私も今度やってみようかな」
「時間できたら、考えてみるわ」
「子どもが就職したら、ちょっと自分の時間持てるかな」
優しい言葉だし、悪気はない。でも、よくよく聞いていると、3年前にも同じこと言っていたなと思うことが増えた。
先送りそのものが悪いわけじゃない。人には準備の時期がいる。
でも、50代の先送りは、ほかの年代の先送りと意味が違う。
気づかないうちに、自分の世界を少しずつ狭くしていく。
50代は、人生で最後のゴールデンゾーン
なぜ50代が「最後のチャンス」なのか。
理由は単純で、お金・時間・体力の3つがそろう時期は、もう50代しか残っていないからだ。
3つが全部そろうのは、この10年だけ
- お金:20年以上働いて、貯蓄・給与・退職金のメドが立ち始める
- 時間:子どもが独立していく。親の介護はまだ本格化していない人も多い
- 体力:まだ動ける。遠出も夜更かしも、気合いで何とかなる
これが、40代までだと違う。
体力はあるけど、時間がなかった。仕事と子育てで、自分の時間なんてほぼゼロだった。
そして、60代以降はどうか。
時間とお金は、むしろ増える人が多い。でも、体力が追いつかなくなる。
飛行機に乗るだけで疲れる。新しいことを覚えるのがしんどい。旅行先で3日目には膝がギシギシ言い出す。
60代になってから気づくこと
実はこれ、私の周りの60代から聞いた言葉そのものだ。
「時間はできた。お金も少しは残った。でも、体が追いつかなくなった」
異口同音、ほぼ全員が同じことを言う。
「もう少し早く動いておけば」と、笑いながらも少し悔しそうに。
50代の今は、その3人そろい踏みの最後の時期だ。
このことに、早く気づいたか気づかなかったかで、60代以降の密度は大きく変わる気がしている。
私が「今トライする」に舵を切った、本当のきっかけ
母の介護で、見てしまったこと
きっかけのひとつは、母の介護だった。
認知症と診断された母は、
元気な頃から「行きたい場所リスト」を持っていた人だった。
旅行雑誌や観光パンフレットを集めるのが好きで、
「いつか行けたらええなあ」と言いながら、
毎年それを眺めていた。
結局、母は、そのリストの半分も行けないまま、
記憶がゆっくり薄れていった。
「いつか」は、来ないんだ。
母が「いつか」と言っていた時間のうち、
動ける時期は、案外短かった。
母を見て、私は、自分のリストを思い返した。
そこに書かれていたのは、
10年前から同じ「やりたいこと」ばかりだった。
娘たちが独立した日
もうひとつのきっかけは、娘たちが家を出ていった日。
長女が社会人になって家を出た日、次女も独り暮らしを始めた日。
寂しさがあったのは確かだ。でも、それと同時に、妙な感覚が来た。
急に、自分の時間ができてしまった。
気づけば、20年以上、子どものスケジュールに生活を合わせてきた。
運動会、参観日、塾の送り迎え、部活動の試合。
それが全部、急になくなった。
妻と二人で家にいて、夜8時に夕食が終わると、「ここから何しよう」となる。
これまで、「時間があれば〜したい」と言い続けてきた時間が、目の前に置かれた。
そこで初めて、本気で考えた。
「自分のための時間、どう使う?」と。
自分もずっと「また今度」と言ってきた
正直に言うと、私は、母の介護が始まるまで、自分が「先送り派」だという自覚がなかった。
仕事が忙しいから。
子どもが小さいから。
お金が厳しいから。
全部、本当の理由だった。
でも、見方を変えれば、全部、やらない理由でもあった。
そのことに気づいた50代後半、私は、小さなことから動き始めた。
「また今度」を乗り越えた、3つの経験
ここからは、実際に私が動いてみた話を3つ書く。
どれも「やらなくても死なない」ようなことだ。でも、やってみて分かったことがある。
50代で初めて行った、音楽フェス
最初にやったのは、
50代で初めての音楽フェスだった。
若い頃から「行ってみたい」と思っていた。
でも、「場違いじゃないか」「体力が持つか」
「一人で行って浮かないか」と、
行かない理由ばかり並べて、
結局20年以上、行かないまま来てしまった。
意を決して、チケットを買った。
当日、会場に着いて、正直びっくりした。
50代、意外と多い。
というか、誰も他人のことを気にしていない。
当たり前だった。音楽を聴きに来てるだけだから。
自分が作ってきた「やらない理由」が、
全部、自分の頭の中だけの話だった。
これが、一番大きな気づきだった。
阪神キャンプを観に、一人で沖縄に飛んだ
2つ目は、
阪神キャンプ観戦のため、沖縄に一人で行った旅。
元々、「いつか行きたい」だった。
でも、「一人旅なんて」
「まとまった休みが取れない」
「家族を置いてわがままだ」と、
先送りしていた。
ChatGPTで計画を立てているうちに、気づいた。
「これ、やる気があるなら、3日あれば十分じゃないか」
行ってみた沖縄は、
人生で一番濃い3日間になった。
阪神の選手を間近で観て、
合間に市場を歩いて、
夜は安宿で泡盛を飲んだ。
50年間やってこなかったことが、
3日で全部できた。
レザークラフトを夜の趣味にした
3つ目は、レザークラフトを始めたこと。
娘たちが家を出て、夜に時間ができた。
「何か、自分の手を動かすことを始めたい」と思って、本屋でレザークラフトの本を手に取った。
正直、続くかどうかは分からなかった。
でも、やってみた。
初日は失敗した。
2日目も、うまくいかなかった。
でも、3日目に、
ちょっと形になったパスケースができた。
そのときの気持ちは、今もよく覚えている。
大事だったのは、「続いたかどうか」じゃない。
「始めた夜の自分」が、
それまでの自分と違っていたことだ。
トライしなくなる人の、共通パターン
私の周りで「やりたいけど動けない」と言う人には、だいたいパターンがある。
「時間がない」と言う人の時間の使い方
「時間がない」と言う人ほど、
SNSを結構見ている。
テレビも、なんとなくつけっぱなしで
1〜2時間は過ぎている。
通勤中の無意識な時間も、
足すと30分〜1時間はある。
別に、SNSもテレビも悪くない。
でも、「時間がない」のではなく、
「優先順位が低い」だけだったりする。
これに気づくと、動き方が変わってくる。
「お金がかかる」で先送りする人
これもよく聞く。「お金があったらね」と。
でも、1万円以下で試せることって、意外と多い。
映画を1本観る。
日帰りで行ったことない場所に行く。
本屋で新しい棚を見る。
新しいジャンルの音楽を1枚買う。
やってみると、
「お金の問題じゃなかったな」と気づく。
動かない一番の理由は、お金じゃなくて、
「動くこと自体への億劫さ」だったりする。
「もう歳だから」と笑う人の10年後
一番よく聞くのが、これ。
「もう歳だから、今さら」と笑いながら言う。
でも、10年後も、さらに10歳分「歳を取ってる」。
そして、10年後の自分は、
ほぼ間違いなくこう思う。
「10年前に始めとけばよかった」と。
今日が、残りの人生で一番若い日だ。
これを、50代のうちに本気で受け止められるかどうかが、
たぶん分かれ目だと思う。
今日から、動き出すための小さな3ステップ
「そうは言っても、何から始めたらいいのか」という人のために、私が実際にやってみて効いた3つを書く。
① やらない理由を、書き出してみる
ノートでもスマホのメモでもいい。
「やりたいけどやれていないこと」と、その横に「やらない理由」を書き出す。
書いているうちに、「この理由、自分で作ってない?」というのが見えてくる。
これだけで、半分は越えられる。
② 5,000円以下で試せるリストを作る
- 映画を1本観る
- 日帰りで行ったことない場所に行く
- 新しいジャンルの本を1冊買う
- 普段行かないジャンルのお店でご飯を食べる
- 新しい趣味の入門キットを買う
5,000円以下なら、失敗しても痛くない。
でも、やってみると、結構人生が動く。
③ 家族か友人に「やる」と宣言する
これは効く。
言ってしまうと、やらないといけない気になる。
私も、沖縄の一人旅を、行く前に妻に「阪神キャンプ、観に行くわ」と言った。
言った瞬間、後に引けなくなって、計画が動いた。
言う相手は誰でもいい。家族でも、昔からの友人でも、SNSでも。
声に出す、文字にする。これで、動く確率は3倍くらい違う気がする。
よくある疑問
Q. 老後の資金が不安なのに、「今使う」って怖くないですか?
怖いです、正直。私も今でも、お金を使うときに「老後は大丈夫か」と不安になる。
でも、もうひとつの不安もある。「使わないまま過ごした結果の不安」。
どちらの不安を選ぶか、という話だと思います。
私は、ダイ・ウィズ・ゼロという本を読んで、「今使う」の意味を考え直しました。
ダイ・ウィズ・ゼロの感想はこちらにまとめています。
Q. 独身・子どもなしの50代でも、今さら始める意味ありますか?
むしろ、自由度が高い分、動きやすいと思います。
家族がいると、どうしても家族の予定を優先しないといけない場面が多い。
独身・子なしなら、週末の1日を自分のためだけに使える。
今から10年続けたら、60代になったときに、「始めた人」と「始めなかった人」は別人になっています。
Q. 家族から「やめて」と言われる挑戦は、どうすれば?
「やめて」の裏にある不安を、まず聞いてみるといいです。
- お金がかかるから?
- 時間を取られるから?
- 危ないから?
- 失敗して落ち込むのが心配だから?
理由が分かれば、対話できる。
「1万円までに抑える」「週末だけやる」「危険対策はこうする」など、具体的に応えると、だいたい通る。
それでも「また今度」と言いそうになったら
正直に書くと、私も今でも、「また今度」と言いそうになる日がある。
そんなときに思い出すのは、60歳の自分が、50歳の自分を見たらどう思うか、ということ。
きっと、こう言うと思う。
「やっちまえよ、時間あるんやから」と。
50代は、人生で最後のゴールデンゾーン。
今日が、残りの人生で一番若い日だ。
大きなことじゃなくていい。
でも、「また今度」を1つでも「今やる」に変えられたら、
10年後の自分が、少しだけ違う顔で笑っていると思う。
この記事を閉じたあと、すぐにメモを開いて、
「やりたいけど、やれていないこと」を1つだけ書いてみてください。
それが、動き出す最初の一歩になります。
関連して、50代のお金と時間の使い方、ダイ・ウィズ・ゼロから考えた使うタイミングも、合わせて読んでもらえると、この記事の背景が見えてきます。

