オンライン飲み会の先に、どうしても行きたくなった夜があった
コロナ禍の間、転勤前の部署の飲み仲間とは、ずっとオンライン飲み会を続けていた。
同世代の男5人。勤務地はバラバラになったけれど、2か月に1回くらいのペースで集まり、気づけば5年ほど続いている。
画面越しでも、会話は弾む。
近況もわかるし、笑いもある。
ただ、あるときふと思った。
「そろそろ、ちゃんと会って飲みたいな」と。
ちょうどその頃、私に銚子の近くへの出張予定が入った。
それなら、このタイミングで久しぶりに集まって、うまいものを食べて、温泉に入ろう。
そんな軽いノリから、銚子行きの話が動き出した。
行く前にあった、小さな引っかかり
私自身は、正直あまり迷いはなかった。
けれど、メンバーの中には少し引っかかりを感じている人もいた。
子どもがまだ高校生で、これから一番お金がかかる時期。
「家族を置いて、自分だけお金を使って旅行に行ってええんかな」という遠慮。
もう一人は体調を崩し、退職するほどの状態だった。
遠出ができるのか、食事についていけるのか。
実現できるかどうかは、正直わからなかった。
それでも私は思っていた。
このメンバーで集まれる機会は、この先、そう多くはないかもしれない。
たまには贅沢しても、罰は当たらんやろ。
そんな気持ちで、みんなの背中を少しだけ押した。
銚子の一日|昼は迷走、夜は船盛
当日、銚子に集まったおじさん5人。
夜は、有名な海鮮居酒屋で船盛を食べる。
それだけは最初から決まっていた。
問題は昼だった。
おじさん5人で、何をして過ごすのか。
意外とプラン作りに苦戦した。
結局、田舎のグラウンドゴルフ場へ行くことにした。
何回でも回っていい、回り放題のコース。
……のはずが、1周もしないうちに全員がバテた。
途中でギブアップ。
「俺らも、年取ったなあ」と言いながら、笑って引き上げた。
その後、「せっかくやから」と灯台や醤油工場も回ってみた。
けれど正直、おじさん5人にはあまり刺さらなかった。
どうやらこの旅は、観光が主役ではなかったらしい。

一番高い船盛が、すべてを持っていった
夜になり、行列のできる有名な海鮮居酒屋へ。
せっかく来たのだからと、店で一番高い船盛を頼んだ。
宿はそれほど豪華ではなかった。
その分、食事にしっかりお金を使おうと決めていた。
結果は大正解だった。
とにかく、うまかった。
料理が出た瞬間、空気が一気に変わった。
「ああ、やっぱり来てよかったな」
心からそう思えた瞬間だった。

50代の現実|食べきれない、夜は眠い
ただし、現実もあった。
昔なら余裕で食べられた量が、途中からきつくなる。
豪勢な船盛だったが、完食するのはなかなか大変だった。
夜も、旅館でいろんな話をするつもりだった。
ところが、そんなに遅くならないうちに全員眠くなり、早々に就寝。
体力も、胃袋も、確実に年を取っている。
でも、それが悪いとは思わなかった。
むしろ、それを笑い合える関係が心地よかった。
先送りしていたら、たぶん実現していなかった
もしこの旅を、「来年にしよう」と先送りしていたら。
実際、その後、体調が悪かった一人は入院することになった。
別のメンバーも、子どもの受験で動きにくくなっていた。
思い立ったときが、いちばん条件がそろっていた。
やっぱり、次は保証されていない。
思い出は、その後も利息を生む
この旅から、もう3年が経つ。
それでも、飲むたびに必ずこの話が出る。
「あの船盛、すごかったな」
「昼のグラウンドゴルフ、全然回れへんかったな」
その一日だけで終わらず、
今も、その思い出で場が盛り上がる。
最近では、次は静岡でうまいものを食べよう、という話も自然に決まった。
今度は、お金よりも時間や経験に使おう、という空気になっている。
まとめ|気の合う仲間は、今のうちに大事にする
気の合う仲間は、意識して大事にしないと、簡単に途切れてしまう。
「いつか行こう」「また今度連絡しよう」。
その“また今度”は、案外やってこない。
思い立ったら吉日。
誰かが声をかけ、背中を押す。
その一歩が、何年もあとまで効く思い出になる。
旅の価値は、その瞬間だけじゃない。
あとから何度も利息を生む。
銚子の船盛は、そんなことを教えてくれた。
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