50代になって、ふと気づきました。
「最近、何かに没頭してないな」と。
仕事はある。家族もいる。生活も困ってない。
でも、土日に「これだけは楽しみ」と言える何かが、
自分にはなかった。
「何か始めたいけど、何から始めればいいかわからない」
——そんな状態が、しばらく続いていました。
そんな私が、結局選んだのがレザークラフトでした。
道具は最初の1本から。場所はキッチンの片隅。
でもこれが、想像以上に「自分を取り戻す時間」になりました。
きっかけ:「やりたいことがあるのに、なぜか動けない」50代
レザクラを始める前、
私はずっと「何かやりたい」という気持ちを抱えていました。
ゴルフ、釣り、楽器、家庭菜園、ランニング——
いろいろ考えました。でも、どれも始まらなかった。
「道具にお金がかかりそう」
「続くかわからない」
「もう歳だから、今さら…」
そんな言い訳を並べて、結局何も始まらない。
気がつくと、また休日が終わっている。
50代って、こういう状態に陥りやすい年代だと思います。
でも、ある日ふと思ったんです。
「動けるうちに動かないと、一生やらないままで終わるな」と。
(関連:50代は最後のゴールデンゾーン|今トライしないと、
一生やらない)
なぜレザークラフトを選んだのか
数ある選択肢の中から、レザクラを選んだ理由は3つあります。
① 一人で、家でできる
50代になると、休日の友人を集めるのも一苦労。
一人で、家のテーブルでできる趣味は、続けやすい。
レザクラは、机ひとつあればできる。
静かな夜、好きな音楽を流しながら、ひたすら手を動かす。
これが、想像以上に心地よかった。
② 始めるのに、そんなに金がかからない
「道具一式そろえないとダメなんでしょ?」と思ってましたが、
違いました。
最初はカッター1本と革1枚で十分。
続くかわからない段階で、何万円も投資する必要はない。
「まずやってみる」のハードルが、思ったより低い趣味でした。
③ 形が残る・人に渡せる
これが、想定外に大きかった。
作ったキーケースを妻に渡したら、ほんとに使ってくれた。
娘に小さなパスケースを作ったら、
「父の手作り」と職場で自慢してくれた。
自分が作ったものを、家族が日常的に使ってくれる。
これは、ゴルフのスコアや釣果では味わえない達成感でした。
手を動かす時間が、自分を取り戻してくれた
始めて気づいたのは、レザクラの本当の価値は「作品が完成すること」じゃなく「没頭する時間そのもの」だということでした。
革に印をつけ、菱目を打ち、ひと針ひと針手で縫っていく。
その間、頭の中から仕事も家族の悩みも消える。
あるのは、革の匂いと、手元の作業だけ。
50代になると、こういう「何も考えない時間」が、意外と貴重なんです。
仕事のことも、子供のことも、親のことも、何もかも忘れて、
ただ目の前の革と向き合う数時間。
気がつくと、心が静かになっている。
「ああ、これが没頭するって感覚やったな」と思い出す。
若い頃にゲームに夢中になった、あの感覚に近い。
これは、お金では買えない時間でした。
むしろ、これこそが豊かな浪費なのかもしれない、と今では思っています。
50代が手仕事を始めるなら、最低限これだけ
「全部そろえないと始められない」と思いがちですが、
それは違います。
2年やってきて、本当に必要だと感じた道具は、
たった4つでした。
① 別たち(カッター)
革を切るための、最初の1本。
普通のカッターでも代用できますが、切れ味がぜんぜん違います。
「道具が違うだけで、
こんなに作業のストレスが減るのか」と最初に驚いた道具。
これだけは、ケチらず最初から買うことをおすすめします。
とはいえ、何万円もするものじゃない。手頃なものでOKです。
② コーンスリッカー(コバ磨き)
革のフチ(コバ)を磨く道具。
これを使い始めて、自分の作品が「素人っぽい」から「ちょっとそれっぽい」に変わりました。
地味な道具ですが、手仕事の象徴みたいな存在。
無心でコバを磨いている時間が、いちばん落ち着くんです。
③ 菱目打ち
糸を通す穴をあける道具。
これを「カンッ、カンッ」と打つ瞬間が、
レザクラのいちばん気持ちいい工程かもしれません。
1針ずつ、自分のリズムで穴をあけていく。
仕事のメールも家族の声も忘れて、ただ革と向き合う。
達成感の入口になる道具です。
④ ヘッドルーペ(拡大鏡)
これは、50代になって買い足した道具。
正直、若い頃なら要らなかったかもしれません。
でも、50代の目には細かい作業がしんどい。
無理して目を疲れさせるより、ルーペで楽に見える方がいい。
50代の体力に合わせて、道具を選ぶのも、続けるコツだと気づきました。
——10個も20個も道具をそろえる必要はありません。
この4つから始めて、必要に応じて増やせば十分。
大事なのは、道具より手を動かす時間そのものです。
「また今度」と言ってる間に、人生は終わる
レザクラを始めて、いちばん変わったのは「休日の質」でした。
前は、テレビを見て、スマホをいじって、なんとなく終わる休日。
今は、夜にレザクラの時間を作って、
コーヒーを淹れて、革と向き合う。
同じ24時間でも、密度がぜんぜん違う。
50代になると、「あと何年、
こうやって没頭できる時間があるんやろ」と思うようになります。
視力も体力も、これから少しずつ衰えていく。
だからこそ、動けるうちに、
何かに夢中になっておくことが大事なんやと思います。
「また今度」と言ってる間に、休日は何百回も過ぎていく。
でも、その「また今度」は、たぶん来ない。
(関連:今この瞬間を使い切る勇気|50代が手にする最後のゆとり)
私の結論:道具は、自分の時間を取り戻すための投資
レザークラフトを始めるための道具一式は、
最低限なら1万円台でそろいます。
1万円といえば、外食2〜3回分。
でも、その1万円で買えるのは、革という素材ではなく、
夜の時間の使い道そのものでした。
仕事から帰って、ぼんやりテレビをつけて、気づけば11時。
そういう夜が、レザクラを始めてから少しずつ変わっていきました。
30分でも1時間でも、机に向かって手を動かす時間が増えると、
夜の質が上がる。
翌朝の自分が、少しだけ違って感じられる。
50代は、お金・時間・体力がそろう最後の時期だと言われます。
趣味の道具に1万円を使うのは、
節約家計簿から見ると目減りに見えるかもしれない。
でも、その1万円で「夜の時間の使い道」が変われば、
それは間違いなく投資です。
私はこういうお金の使い方を「豊かな浪費」と呼んでいます。
守りの節約ではなく、攻めて、自分の時間を豊かにする浪費。
50代以降の生活の質は、ここで決まる気がしています。
気になる手仕事があるなら、迷わず始めるのがいいと思います。
道具は、後からそろえられます。
でも、始めない時間は、二度と戻ってきません。
よくある疑問
Q. 不器用でも続けられますか?
続けられます。
レザークラフトは「うまい人になる」ためじゃなく、
「手を動かす時間を持つ」ために始める趣味です。
下手でも、自分で作ったコバが磨きあがる感覚は誰にでも味わえます。
Q. どこで道具を買えばいいですか?
初心者なら、ネット通販でレザークラフト専門ショップのスターターキットを選ぶのが手っ取り早いです。
5,000〜10,000円のキットで、
必要な道具がひと通りそろいます。
慣れてきたら、こだわりたい道具だけ単品で買い替えていけばOKです。
Q. どれくらいの時間が必要ですか?
1日30分でも十分です。
むしろ、毎日まとまって取り組むより、
少しずつ「触る習慣」を作るほうが続きます。
30分の積み重ねで、
半年後には小物の1つや2つが完成しています。
趣味や時間の使い方は、こちらの記事も参考になります。
➡レザークラフトは50代の趣味に向いてる?実際にやって分かったこと
➡50代は最後のゴールデンゾーン|今トライしないと、一生やらない
➡豊かな浪費とは|節約でもFIREでもない、50代の第3の道

