私のお金の使い方を変えた本がある。
『DIE WITH ZERO(ダイ・ウィズ・ゼロ)』。
米国の投資家ビル・パーキンスが書いた、
世界的ベストセラー。
テーマは明快で、
「死ぬときにお金を残すのではなく、
生きているうちに経験を最大化する」こと。
書店のマネー本コーナーに並んでいるから、
見かけた人も多いと思う。
一見すると「浪費をすすめる本」みたいに
聞こえるけど、実際は違う。
著者が繰り返し語るのは、
年齢ごとの適切なタイミングで、
お金を経験に使い切ることが、
後悔のない人生をつくる、ということ。
日本人が抱えがちな「お金の勘違い」
日本では「老後に備えて貯金すること」が
美徳とされてきた。
コツコツ貯めることこそ、
安心につながると。
しかし著者は、こう断言する。
「死ぬときに銀行口座に大金が残っていても、
それは使いそこねた体験の象徴にすぎない」
お金を残すよりも、
今この瞬間に使って体験を増やすほうが、
幸福度ははるかに高い。
この発想は、日本人の「老後不安」と真逆。
だからこそ新鮮で、強い説得力があった。
退職金は「経験」へ投じる
日本人にとって、退職金は人生の大きな節目。
数千万円単位のまとまったお金を手にするけど、
多くの人は「とにかく残さなければ」と
思ってしまう。
でも『DIE WITH ZERO』的に言えば、
これは大きな機会損失になる。
60代前半は、まだ体力が残っている。
家族や仲間と過ごせる時間がある。
人生経験を深められる、最後のチャンス。
旅行、趣味への挑戦、学び直し、仲間との再会。
この時期にお金を使うことで、
人生の「思い出資産」が一気に増える。
もちろん、医療や介護のための
安全資金は必要。
それを確保した上で、
残りを豊かな浪費として使うのが、
一番合理的やと思う。
子どもや孫への「早めの援助」
多くの親世代は、
「子どもに資産を残す」ことを前提にしている。
でも著者は、
遺産を死後に残すのは非効率やと指摘する。
子どもが本当にお金を必要とするのは、
若い時期(26歳〜35歳)。
教育資金、結婚資金、住宅購入の頭金。
こうした場面で支援するほうが、
子どもの人生を大きく助ける。
自分が亡くなったあとに残しても、
子どもはすでに50代や60代。
必要性は薄れている。
それに、親にとっても、
「渡して喜ばれる姿を見る」という
経験が得られる。
双方にとって、豊かな体験になると思う。
50代・60代前半は「黄金の浪費期」
この本を日本に当てはめると、
まさに50代が最大の使いどき。
お金・時間・体力の3つがそろう、
最後の時期やから。
子育てが一段落して、
家族で動きやすくなる。
仕事仲間や友人とも、
まだ現役として関わりがある。
この時期に使わへんかったら、
70代以降は「お金と時間はあっても、
体力がない」という状態になってしまう。
「今、使わんと、いつ使うねん」が、
現実味を帯びてくる。
このテーマは、50代は最後のゴールデンゾーンで
深掘りしている。
健康こそ、最大の投資先
どれだけ資産があっても、
健康を失えば、
楽しめる経験は限られてしまう。
人間ドックや定期健診。
運動習慣や食生活。
睡眠の質を高めるグッズ。
マッサージや温泉。
これらは贅沢に見えて、
実は「人生の体験を守るための先行投資」。
著者も「健康に投資せよ」と繰り返している。
私自身、誤診をきっかけに健康への考え方が変わった話も書いた。
「思い出ポートフォリオ」を設計する
お金を効率的に使うには、
思い出をポートフォリオのように
積み上げる意識がいる。
毎年恒例の家族旅行。
還暦祝いなど、節目のイベント。
孫と一緒に体験できるレジャー。
こうしたイベントを意図的に設計して、
資金を集中させれば、
振り返ったときに、
「思い出の資産」が積み重なっていく。
お金を数字で貯めるのやなくて、
思い出という形で貯める。
これが『DIE WITH ZERO』的な
使い方やと思う。
死を意識して、逆算する
日本では「死を語るのは縁起でもない」と
避けがちやけど、
この本では「死を意識するからこそ、
人生が変わる」と説かれている。
自分の寿命を仮定して、
「資産をいつまでに使い切るか」を決める。
80歳までに必ずやりたいことを書き出す。
70代以降は「小さな楽しみと安全資金」に
シフトする。
有限であることを自覚すると、
「お金を残す」より
「今をどう生きるか」に、
自然と意識が向いてくる。
まとめ:そのまま真似はしない。「核」だけもらう
ただ、本の内容を日本人の状況に、
そのまま当てはめるのは危険やと思う。
米国と日本では、
年金・医療・教育費の仕組みが違うから。
「完全なゼロで死ぬ」ことも、
私は目指していない。
現実的やないから。
それでも、「残すこと」を最優先にして、
今を我慢しすぎるのは違う、
という主張には深く同意している。
私は「核の考え方」だけを採り入れて、
日本の50代向けにアレンジした
「豊かな浪費」を、自分の指針にしている。
バランスが大事。
「使うべき時に、使うべきものに、
ちゃんと使う」。
それだけで十分やと思っている。
ちなみに、最初の一歩としては、
やりたいことを10個、
スマホのメモに書き出すのがおすすめ。
私もそこから始めた。
お金は後からでも増やせるけど、
今日という一日は、二度と戻らへんから。
お金の使い方は、こちらの記事も参考になります。
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