50代おやじの退職相談記|お金では買えない仲間

家族と仲間
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先日、こんな噂を耳にした。
アイツとつるんだ奴は会社を辞める

聞いた瞬間、思わず笑ってしまった。まるで私がパワハラで人を追い出しているかのようではないか。もちろんそんなことはない。だが、振り返ってみると確かに私の周りには会社を去った人が少なくないことに気づいた。

自分なりに「なぜそうなったのか」を考えてみると、そこには私の性格や行動が深く関わっていた。


相談を受けやすいおやじ

私は昔から、人に相談されやすいタイプだ。学生時代は恋愛相談、社会人になってからは「会社を辞めたい」という悩み。自分では特別なことを言っていないつもりでも、「その一言で気が楽になった」と感謝されることが多い。

特に職場では、辞めようかと悩んでいる人がなぜか私のもとに集まってきた。だからこそ「アイツとつるむと辞める」という噂が広まったのだろう。本人からすれば、ちょっとした会話や飲みの席でのやり取りに過ぎないのに。


浪費した時間と酒代

私は人の表情や雰囲気から「この人は何か抱えているな」と察してしまう。放っておけず「ちょっと飲みに行くか」と誘うことが多かった。酒代も時間もかかる。効率で考えれば無駄なことだ。

けれど、その場で交わされるのは、たいてい仕事の愚痴や「もう限界かもしれません」という弱音だ。そんなときに私が伝えるのはただ一言。
会社だけが人生じゃない。仕事なんて世の中にいくらでもある

辞めろとも、残れとも言わない。だがその一言で相手の肩の力が抜け、「もう少し頑張ってみます」と帰っていく人も多かった。振り返れば、私は「すぐ辞めるのを少し延ばす役目」を果たしてきただけかもしれない。


辞めても続いた人との縁

もちろん、それでも辞める人はいる。
30代の同僚は過労で心身ともに疲れていた。私の言葉を胸に、半年後に転職を決断し、今は別業界で生き生きと働いている。

40代の後輩は上司との相性に悩み、結局は退職した。けれど今も飲みに誘えば当時の苦労を笑い話に変えて話せる関係だ。

不思議なことに、辞めた後でも縁は切れない。むしろ退職後のほうが立場のしがらみがなくなり、フラットに付き合える。気づけば20代から50代まで、世代を超えた仲間ができていた。


仲間こそ50代の財産

私は別に「人脈を広げよう」と思って相談に乗ってきたわけではない。ただ「悩んでいる人を放っておけなかった」だけだ。

その積み重ねが、結果として今の仲間を生んだ。飲みに行って笑い合える関係は、役職や会社を超えて続いている。これはお金では買えない。

50代になった今、実感するのは「仕事よりも大切なのは人との縁」だということだ。そしてその縁は、効率や損得勘定ではなく、時間や気持ちを浪費したからこそ残ったのだと思う。


豊かな浪費が生んだ仲間という財産

アイツとつるむと辞める」という噂は、半分本当で、半分間違いだ。私は辞めさせたわけではない。ただ話を聞き、少し楽にさせただけ。結果的に「辞めるのを少し延ばす役目」を担ってきたに過ぎない。

だが、その延命の時間が「仲間」という形で今も残っている。退職しても縁は切れず、むしろ深まった。会社の枠を超えて支え合える仲間が、今の私の50代を豊かにしてくれている。

効率だけを考えれば、私が費やしてきた時間や酒代は確かに“無駄”だったのかもしれない。けれど私はそうは思わない。それは人と人をつなげるための“豊かな浪費”だったのだ。

お金では買えない財産――それが仲間だ。
そして仲間は、私が積み重ねてきた豊かな浪費の結晶だと思う。


まとめ|50代の人生観と豊かな浪費

アイツとつるむと辞める
という噂の正体は「辞めるのを少し延ばす役目」 その過程で生まれた縁が、世代を超えた仲間となり財産になった 仲間はお金では買えない 時間や気持ちを浪費したからこそ得られたものがある

50代になった今、私はこう思う。
人の相談に浪費した時間こそ、豊かな浪費だった」 と。

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