きっかけ:コロナ禍の、沈みかけた空気
あれは、コロナ禍の真っ只中。
外出が制限されて、
家族全員が家で過ごす時間が
一気に増えた頃のこと。
「このまま毎日テレビとスマホだけやと、
気分が沈むな」と、
正直思っていた。
そんなとき、ふと目に留まったのが、
プロジェクターの広告。
「寝室が映画館に」
「おうち時間をアップデート」と、
うたっていた。
値段を見たら、それなりに高い。
テレビもあるし、
スマホでも動画は観られる。
「ただの浪費やないか?」と、
最初は思った。
でも、気づいた。
どうせ長いおうち時間なら、
少しでもワクワクするほうに使いたい。
これは、モノを買うというより、
「体験を買う」買い物かもしれへん。
そう自分に言い聞かせて、ポチッと押した。
最初は、自分ひとりの小さな楽しみやった
難しく考えず、まずはとりあえず試す。
合わへんかったら止めればいい、
くらいの気持ちで。
50代になってからは、
その軽さが大事やと気づいた。
届いた夜、寝室を真っ暗にして、
壁に映してみた。
想像以上に明るい。音もきれい。
ただの白い壁が、
あっという間にシアターになった。
最初は、ひとりで観ていた。
お気に入りの飲み物を手元に置いて、
ベッドの上でのんびり。
同じ映像でも、大画面で観るだけで、
まったく違って見える。
「あぁ、これは心が満たされる
買い物やったな」と、
その夜から感じた。
でも、このときはまだ、
自分ひとりの楽しみでしかなかった。
後に、家族全員の夜を変えるとは、
思ってもみいひんかった。
家族上映会が、リビングの空気を変えた
ある週末の夜、なんとなく
プロジェクターをリビングに持ち出した。
「せっかくやし、みんなで何か観よか」と、
妻と娘たちに声をかけて。
最初は「今さらテレビでええやん」と、
あまり乗り気やなかった。
でも、照明を落として
Netflixを映した瞬間、空気が変わった。
壁いっぱいに広がる映像。
部屋全体が静まり、
自然と画面に引き込まれていく。
妻も娘たちも、ソファに集まってきた。
会話が生まれ、笑い声が響き、
いつの間にか家族が同じ方向を向いて
時間を過ごしていた。
リビングが、また
「家族が集まる場所」に戻った夜。
それだけで、この買い物は
もう十分に元を取った気がした。
ちなみに、家族が乗り気やなくても、
最初は1人で観ているだけでいいと思う。
うちも最初は私だけやった。
通りかかったときに「これ何?」と
興味を持つ瞬間が、必ず来る。
マリオカートの夜、50代が子どもと同じ顔で笑った
次に試したのは、Nintendo Switchを
プロジェクターにつないでの大画面プレイ。
これが、想像以上やった。
壁一面に広がるマリオカートのコース。
カーブを曲がるたびに体が自然と傾き、
アイテムを当てるたびに全員が叫ぶ。
50代の私でも、気づけば
子どもたちと同じテンションで笑っていた。
普段はおとなしい妻まで
「もう一戦!」とリクエスト。
静かな夜が、笑いと歓声で満たされる。
「たかがゲーム」やったはずのものが、
「家族イベント」になっていた。
ベランピングで、ナイトシアター

次に挑戦したのが、
ベランダでの上映会。
バーベキューほど準備は要らんし、
片付けも楽。
ホットプレートと
折りたたみテーブルを出して、
軽く焼き物をしながら、
家の壁にプロジェクターで映す。
風の音、夜の空気、遠くの街の灯り。
それだけで、もうキャンプ気分やった。
娘は「外で映画、気持ちいいね」と笑い、
妻は「旅行行かんでも、
これで十分かも」とつぶやいた。
この夜、私は確信した。
浪費って、本来こういうもんなんちゃうか、と。
モノを増やすんやなくて、
心が動く時間にお金を使うこと。
買う前は、これを「浪費」と呼んでいた
プロジェクターを買う前、
私はこれを「浪費」と呼んでいた。
実際、安い買い物ではなかった。
でも、買ってから2年、
振り返って気づいた。
浪費には、2種類あるんやと。
モノを増やすだけで、
使わなくなって終わる浪費と、
買ったあと、家族との時間そのものを
変えてしまう浪費。
プロジェクターは、間違いなく
豊かな浪費のほうやった。
家族で笑った時間、ゲームで叫んだ夜、
ベランピングで観た映画。
どれも、プロジェクターがなかったら
起きていなかった時間になる。
50代になって分かってきたのは、
「あと何回、家族で同じ画面を見る夜が
あるんやろ」ということ。
娘たちは、いつか家を出る。
だからこそ、今のうちに、
家族の時間を作る道具には
お金をかけていい。そう思った。
私の結論:10万円で買ったのは、家族の夜やった
プロジェクター本体とスクリーン、
合わせて10万円ほど。
正直、最初は「映像を映すために
10万円か」と思っていた。
でも、入れてみて気づいた。
このお金で買っていたのは、
機材やなかった。
リビングの照明を落として、
家族で同じ画面を見上げる夜。
マリオカートで子どもに本気で負ける夜。
ベランピングでお酒を飲みながら
星空を見る夜。
10万円で買えたのは、
家族の夜の中身そのものやった。
50代になると、家族で同じ部屋にいる時間は
急に減っていく。
子どもは独立し、夜は各自スマホ。
そんな中で、わざわざ集まる「理由」を
作ってくれたのがプロジェクターやった。
これから買うなら、
初心者は3〜5万円のモバイル型でも十分。
本格的に楽しみたいなら、
10〜15万円のレーザー光源モデルが快適。
明るさ(ANSIルーメン)を最初の基準にすると
失敗しにくいと思う。
夜なら、専用の暗室も要らへん。
リビングで気軽に使える。
10万円で、家族の空気が変わるなら、
これは投資やと思う。
私はこういうお金の使い方を
「豊かな浪費」と呼んでいる。
モノに使ったのやなくて、時間に使ったお金。
50代以降の家計の使い方として、
これ以上のリターンはない気がしている。
家族との時間や体験への投資は、こちらの記事も参考になります。
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