認知症 見守りグッズ6選|家族が本当に助かった安心アイテム

時間術と効率化
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認知症の母は、今、施設で穏やかに暮らしています。
一人暮らしをしていた頃は、本当に大変でした。特に物をなくすことが多くて、毎日のように家中を探し回っていました。その中で一番多かったのが、テレビやエアコンのリモコンです。見つかる場所はいつも不思議で、座布団の下、洋服ダンスの奥、時には仏壇の奥から出てきたこともありました。あの探している時間は、家族にとって大きな機会損失であり、精神的な疲弊の原因でもありました。

そんな日々の中で、少しずつ導入していった見守りグッズが、結果的に家族の安心という名の豊かな時間につながりました。どれも高価なものじゃありませんが、これらは「お金・時間・体力」がまだ揃う50代が、未来の安心を買うための賢い投資だったと感じています。


①リモコン探しに終止符を打った「キーファインダー」

リモコンが見つからないと、母はすぐに私や家族を呼ぶんです。「ないのよ、あれが」と言いながら、思い出そうと眉を寄せる姿が日常でした。リモコンを見つけたときの第一声は決まって「誰かが隠したんじゃない?」。たぶん、自分で置いたのを忘れているだけなんだけれど、本人は至って真剣なんですよね。

そんな毎日をきっかけに、キーファインダーを導入しました。リモコンに小さなタグをつけて、対応する番号のボタンを押すと”ピピピッ”と音が鳴る仕組みです。本体は壁にチェーンで固定して、これだけは絶対に動かさないようにしました。

最初は「どこから音がしてるの?」と不思議そうにしていた母も、すぐに「ピピピが鳴ったら探す」というコツを覚えました。このシンプルなルールが、思った以上に効果的で、家族の捜索時間を大幅に削減してくれました。

しばらくは平和だったんですが、ある日、そのキーファインダーのリモコン自体が消えるという、まさかの展開に。家族全員で大捜索。冷蔵庫の中、引き出しの奥、布団の間…ようやく見つかったのは翌日、座布団の下でした。それ以来、キーファインダーを見つけるためのキーファインダーを家族用に追加するという、笑えないような工夫も必要になりました。

リモコン以外にも、家の鍵、財布、老眼鏡など、よく消える物にはすべてタグをつけました。電池が切れると音が鳴らなくなるので、月に一度は家族LINEで「電池交換の日」とリマインドしていたのも、今となっては懐かしい思い出です。


②スマホで探せる「tile」

Bluetoothタイプの「tile」も試してみました。これはスマホのアプリで探せるのは便利ですが、実際に使ってみると「このあたり」と表示されるだけなんですよね。方向はわかるけれど、最後は人の勘に頼る場面が多かった。

母が自分で操作するのは難しく、最終的には私たち家族が「どの部屋にあるか」を確認する用途で活躍しました。ある日、「財布がない」と電話があって、アプリを開くと反応がリビングのあたり。帰省したときに見つけたのは、座椅子の裏側でした。

“正確な場所”よりも、”見当がつく”だけで捜索の範囲を大きく絞り込める。この効率化が、私たち家族の「体力」と「焦り」の浪費を防いでくれました。高価なものじゃありませんが、いざという時の安心を道具で担保できる、そんな助けになるアイテムだったと感じています。


③スマートカメラで“生活の見える化”

別居していたものですから、玄関・台所・寝室にスマートカメラを設置しました。正直、最初は「監視しているようで気が引けるな」とためらいもありました。でも、遠くに住んでいる身としては、母が倒れていないか、夜中に徘回していないか、そして薬を飲み忘れていないかを確認できる「安心感」のほうが、圧倒的に大きかったんです。これは、私自身の「体力」、つまり心配する労力の浪費を防ぐための賢い選択だったなと思っています。

録画を時々見ていると、母の普段の生活のリズムがよくわかります。朝は5時過ぎに起きてストーブをつけて、お湯を沸かしながら小さく鼻歌を歌っている。そんな様子が映っていると、画面越しに私も少し微笑んでしまうことがありました。

ただ、やはり薬の袋が何度も机の上に残っている日もありました。「あ、今日は飲んでないな」と思ったときは、すぐに電話をかけるようにしています。「用事はないけど、元気? そういえば薬はもう飲んだ?」と聞くと、母は「あっ、今から飲むとこよ」と慌てて動く。そういうやりとりが、週に何度かありましたね。

カメラは母を監視する道具というより、会話のきっかけを作るための道具になったんです。設置直後に、母が「あら、これ何?」と少し気にしていたんですが、数分後にはもう忘れてしまって、その後は特に気にされることもありませんでした。


④外出時の見守りに「BoT」

母は散歩が好きで、気分が良い日はよく外へ出ていました。ただ、認知症が進むにつれて、帰り道を間違えて迷うことが増えてきたんです。そこで、家の鍵にGPSトラッカーをつけることにしました。

Bsize社の「BoT」という充電式のタイプを選んで、スマホのアプリで位置を確認できるようにしました。「自宅を出た」「帰宅した」を自動で知らせてくれるだけでなく、あらかじめ設定した散歩コースから外れた時も教えてくれます。電池残量も見られるので、充電忘れを防げるのも助かりました。

このGPSの素晴らしい点は、「位置情報の正確さ」よりも「今、どこにいるか」が分かることで、不安による時間の浪費を防げたことです。もし位置がわからなければ、すぐに車を出して探しに行くという大きな機会損失が生じます。ある日、アプリの通知で「家を出たまま1時間」が続いて、さすがに心配になって電話をかけました。「今どこにいる?」と聞くと、母は「川沿いの桜が咲いてるわよ」とのんびりした声。どうやらいつもの道から一本外れて歩いていたようでした。

少しサイズが大きいのが気になる点でしたが、これは「お守りみたいなものだからね」と伝えてからは、特に気にせず持って出かけてくれるようになりました。こうした小さなデバイスへの豊かな浪費が、遠距離介護における安心感をしっかりと支えてくれているんです。


⑤夜の移動を助けた「人感ライト」

母は夜中にトイレへ行くことが多いにもかかわらず、「電気代がもったいない」と言って照明をつけないことがあって、真っ暗な中での転倒リスクにヒヤヒヤしていました。

そこで導入した人感ライトは、この問題をシンプルに解決しました。人が通ると自動で点灯して、足元が見えるようになり、転倒防止に直結しました。しかも、100円ショップのものでも十分で、取り付けも簡単だった点は、手軽に導入できる「プチ浪費系グッズ」の価値を証明しています。

夜の様子をスマートカメラで見たとき、ふわっと灯りがつく瞬間に安心を覚えました。小さな光ひとつで、家族の不安による時間の浪費がどれだけ解消されたか。照明の色や明るさの工夫が、夜の行動のハードルを下げるという効果は、生活の質を向上させる重要な要素ですね。


⑥薬の飲み忘れ防止に「お薬カレンダー」

薬の管理は認知症の方にとって最も難しい課題の一つですが、市販のお薬カレンダーに一工夫加えました。市販のカレンダーは曜日しか書かれておらず、母が「昨日の分か今日の分か」が分からなくなるという問題に対して、曜日の下に日付を書いた紙を入れることで解決しました。

さらに、一週間分では補充が間に合わないため、同じカレンダーを二つ用意して、一つを使っている間に家族が次週分を準備するという運用も、遠隔でサポートする家族の負担(体力と時間)を軽減する工夫です。

このカレンダーをカメラに映る位置に設置して、映像越しに「薬が減っているか」を確認できるようにした点も重要でした。これにより、「飲んでないな」と気づいたときに「用事はないけど、元気? 薬はもう飲んだ?」と電話をかけて、服薬を促す会話のきっかけになりました。飲み忘れを完全に防ぐというより、「気づける」仕組みを作ることが一番効果的だったという結論は、見守りにおける「見える化」の重要性を示しています。


まとめ|安心を“道具”でつなぐ

導入したどのグッズも完璧ではなかったかもしれませんが、工夫を重ねて暮らしを整えるうちに、家族と母との距離が”心配”から”安心”へと変わっていきました。

キーファインダーの音、スマートカメラの映像、GPSの通知、人感ライトの灯り、お薬カレンダーのポケット。これらはまさに、「心配しすぎる家族」と「できるだけ自分でいたい本人」を静かにつないでくれる道具となったわけです。

50代は「お金・時間・体力」がまだバランスよくそろう最後の時期。この時期に、こうした道具への投資(豊かな浪費)を行うことは、健康と安心を買って、将来的な介護の負担を減らす未来への投資であると言えます。

今日できる一歩|親の“今”をちょっとだけ見える化してみよう

もし今、「うちの親も少し心配だな」と思ったら、いきなり大がかりな見守り機器をそろえる必要はありません。

まずは、家の鍵やリモコンにキーファインダーをつけてみる。ネットで「キーファインダー おすすめ」と検索すれば、2,000円前後で買えるものがすぐ見つかります。

また、夜間の安全確保のため、夜中の移動が多いご家庭なら、「人感ライト 廊下 電池式」と検索して、100円ショップやネット通販で一つ取り入れてみてください。

こうした小さな改善が、体や生活環境にとっては大きな変化になります。見守りは「いつか」じゃなくて、「今日から少しずつ」で十分です。家族を思う気持ちが、いちばんのセンサーであり、見守りの最初の行動のスイッチになるんです。

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